
東日本大震災が起こる少し前の1月のこと。
朝日町内で古民家を使った「農家レストラン一農舎」の開業をすすめる地元有志に呼ばれ看板のデザインを依頼されました。蔵と母屋が一体となった素敵な佇まいのお家。これが旧松本邸との最初の出会いでした。
震災でレストラン企画が白紙になってしまった後も、このお家を何か良い形で利活用できないという想いは私の心の片隅にずっと残ったままでした。
その後、地域おこし協力隊の研修会や、リノベーションスクール山形への参加を経て、古民家の利活用の想いがふつふつと煮詰まって来た昨年度、「旧松本亭の利活用を考えてみないか?」という、願ってもないオファーを朝日町から頂きました。
素泊まりの宿・ゲストハウスとしての運営を決めたのは、着地型観光・移住先の空き家見学・農業体験など、朝日町に滞在をされる様々なお客様に、ぜひこの建物や、庭から見える最上川、当たり前の朝日町の暮らしの中にある詩的な瞬間を、誰でも気軽に体験して頂きたかったからです。
この家屋と土地は全て前所有者の松本様が町に寄付してくださったものです。そして、レストランにつくはずだった一農舎という名前。その2つの想いを引き継ぎ活かしたいという願いをこめて「松本亭一農舎」を宿の名前としました。
ホテルや旅館のような行き届いたサービスはできませんが、スタッフそれぞれが朝日町の見処、オススメなどご紹介し、泊まれば朝日町を巡ってみたくなる宿を目指していければと考えています。
地方創生が声高らかに叫ばれる昨今ですが、私たちはまず、地域の風土を誰かと共に楽しんでいくことから挑戦していきます。この取り組みの先に、朝日町を楽しく活かす多くの人々との出会いが待ちうけていると信じて。
最後に、前例のない本事業の意図を最大限に尊重していただき、共にここまで歩んでくださった朝日町役場の皆様。この地の風土を育み、新たな取り組みを優しく応援してくださる常盤地区の皆様に感謝を込めて、松本亭一農舎の開業のご挨拶とさせていただきます。お客様と共に楽しく豊かに日々を過ごしていくことで、私たちスタッフもこの風土を育む一員になれれば幸いです。
松本亭一農舎
代表 佐藤恒平

